2007/10/23

管理人のアベさん、怒る

うちのマンションの管理人のアベさんは、とても温厚な人だ。
面倒見も良くて、「そこまでは管理人さんの仕事じゃないでしょ~」というようなことまで、なんでもない顔でやってくれる。築30年近いマンションだから、住民の高齢化も進んでいて、お年寄りの世帯、中でもとくにご主人に先立たれて男手のない世帯にとっては、管理人さんの存在は心強く、頼もしいはずだ。

さて、このマンション内には、ゴミの集積所がないため、各戸から出るゴミは、回収日になるとマンション裏の道路沿いにまとめて出すことになっている。回収後の清掃は、いつもアベさんがしてくれる。

少し前、次女を幼稚園に送ろうとマンションを出たところで、アベさんにばったり会った。手にコンビニ袋を提げて何やら怒っている。

アベさんが怒っている!?
何事だ!!

聞けば、近所のコンビニの店員がいつも、レジ前にたまったレシート(不要なレシートをお入れください、のやつね)を、マンション裏手の川端に捨てていくのだという。そのレシートが、風に散って散乱しているのを、いつもいつもアベさんが集めているのだとか。

アベさん、そんなことまでしていたの…。

珍しく怒った顔のアベさん、袋に集めた“証拠物件”を片手に、
「これから本部に苦情の電話してやるの。」(アベさんは男性。念のため)
と息巻いていた。

ええ~っ!お店に言わずに直接本社にかけちゃうの!?

「お店に言いに行ったって、どうせバイトだから、話になんないの。」

そういえば、あれ以降裏の川にレシートが散らかっているのは見かけない。
本社からあのお店のオーナーさんにお達しでもあったんだろうか。

わが家は来年3月に、新潟へ引っ越すことが決まったのだけど、そしたら今までアベさんがしてくれていたいろんな事を、自分でしなくちゃいけないんだなあ。

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2006/05/23

盛り下がるエントランス

マンションのエントランス部分にヒビが入って、タイルが盛り上がってしまったことは以前書いた。2,3日前、通りがかりに問題の箇所をふと見ると、盛り上がっていたタイルが細かく砕けた状態で寄せ集めてあった。

「ん?」

不思議に思って眺めていると、背後から近づく足音。
まるでこちらの気配を嗅ぎつけたかのように、管理人のアベさん登場だ。

「どうしたんですか、これ?ますますひどくなってますね。」

そう問いかけると、アベさん、ちょっと困った顔をして

「これ、あたしがタイルはぐってみたの。」(アベさんはれっきとした男性である。念のため)

「え?で、どうでした?
「それが、下のコンクリートは何ともなってなかった。」
「……。」

思わず顔を見合わせてしまうアベさんとわたし。

「それは、つまり…?」
「う~ん、困った。つまり、市の工事とは関係ないって事。市のせいにできなくなっちゃった。」

本当に残念そうな管理人のアベさん。そうだねえ、一旦「やるぞ~!」て、闘志満々になっちゃったから。
でも、ということはつまり、地盤が歪んだとかそういうんではなく、単にエントランスの表面部分が劣化しただけと、そういうことなんだろう。

いえ、アベさんには申し訳ないけど、入居者としてはすご~くホッとしてるんですけど…。ごめんね、アベさん、一緒に戦えなくて。っていうか、一緒に戦えないことを残念に思えなくて。

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2006/05/10

盛り上がるエントランス

昨日、外出しようと下へ降りたら、マンションのエントランスで管理人のアベさんが、野球の球審よろしく両足を開いて踏ん張り、上体を屈めるようにして何かをじっと見つめていた。

「どうしたんですか?」

やっぱり、その横を無言で通り過ぎるわけにはいかないだろう。

「うん、あのね。」

アベさんは、腕を組み、片手を頬に当てて(献立を考えながら買い物をしている主婦のよくやるあれだ)、思慮深そうに言った。

「1階の○○さんの前のとこ、なんか盛り上がっちゃってんの。だから、こっちは大丈夫かなと思って。」

え?盛り上がってるって?別に静かだけどなあ。エントランスを出てマンションの前を見ると、なるほど!通りに面したポーチの部分、貼ってあるタイルが左右から押されたようにぐっと山型に盛り上がっている箇所がある。盛り上がってるって、そういうことか。わたしはまた、誰かが昼間っから1杯ひっかけて楽しくやってるのかと思ってしまった。

でも、アベさんが心配しているように、確かに気持ち悪い。マンションの下の地盤が変化してるなんて。この前配られた防災ガイドを見直しておくべきかもしれない。アベさんが言うには、ちょうどその盛り上がりの下を配水管が通っているのだそうで、その管の道筋を追って、エントランスの方まで確認していたのだそうだ。

「業者呼んで見てもらわなきゃ。」

アベさんは頬に手を当てたまま、気がかりそうにつぶやいた。頼りになる管理人さんがいてくれて本当によかった。
業者が来たら、結果はどうだったのかアベさんに確認するのを忘れないように、備忘録代わりにここにUP!

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2005/10/07

管理人のアベさん(生協の白石さんのパクリではない)

買物に出かけようとしたところ、マンションのエントランスで管理人のアベさんにばったり。

このアベさん、我が家が今年の春、富山へ引っ越してこのマンションに入居したのとほぼ変わらぬころに、ここの管理人の職に就いたというおじちゃんだ。
ドアと窓を開け放した管理人室(我が家の真下)からは、いつも壮大なクラシックが流れてくるし、エントランスに飾られている花も、このアベさんが自宅や、通勤途中の花壇から(エッ?!) 持ってきて飾ってくれているのだそうで、なんとなくただ者ではなさそうな、そんなお人なんである。

「あれはきっと、そこそこの役職にあった人だぞ」

と、オットも常々言っている。

うちの3人の子ども達をとてもかわいがってくれて、特に末っ子の次女なんか、もう完全になついてしまって「行ってきま~ちゅ」「たまいまー」と、必ず挨拶をする。

そんなアベさんとばったり会って、いつものとおり二言、三言挨拶を交わしてすれ違ったその時

「あっ。」

と背後でアベさんの声。
振り向くと、刑事コロンボのように(そういえば、アベさんって、ピーター・フォークに似ている)額に手を当て、体を半身にしてこちらを向き、何か言いたげだ。

「9日、何かある?」(アベさん)
「こっ、9日ですか?!うーん、何もないと思うけど?」(私)
「じゃ、2時にそこの○○館、来て」(ア)
「???」
「詩吟の全国大会。私、出るから。」(ア)
「えっ?!ええええええ~っ?!い、行きます!」(私)

詩吟なんだ。いつも聴いてるのはクラシックで、自分は詩吟を唸るんだ。やっぱりタダモノではないアベさん…。しかも全国大会だし。

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